2011年11月14日
酒飲み
バンコクのある繁華街。
ある日の昼過ぎ。
観光客が行き交う歩道に面し、
昼間からシャッターを開けた、
開放的なバーが並び、
派手なおねーちゃん達が歩道側に陣取り、
観光客を気だるそうに眺めている。
「20時までハッピータイム。ローカル麦酒70B(記憶曖昧)」
と掲げられえた店に立ち入る。
すぐには誰も寄って来ない。
キョロキョロと店内を眺め、
好みのねーちゃんを探し、
適当な場所に腰掛ける。
近くのウェイターに麦酒を注文。
いつも飲む麦酒は安いビアーアーチャ。
しかし、ここはどの麦酒も同じ値段なので、
当然、ビアーシン。
我ながらセコイ。
こんな所が、
いつまで経ってもうだつが上がらない要因なのかもしれない。
断熱材の円筒容器に入れられた、
小瓶の麦酒が運ばれてくる。
瓶の口から直接、
乾いた喉に苦い黄金の液体を流し込む。
波打つのように、
ゆるりと喉に届き、
二日酔い気味の胃に吸収される。
上手い!!
コップから飲む方が喉越しは良いが、
こういう場では、
瓶で飲むのが良く似合う。
ほっと、息を吐く。
頬辺りに血液が巡って来るのが分かる。
欧米人向けなのだろうか、
テーブルも椅子も位置が高い。
片肘をつき、
ちびりちびりと黄金水を口に運び、
辺りを観察する。
わしがタイに嵌ったのは、
こんな一時に、
何とも言えない魅力を感じたからかもしれない。
もちろん、タイに初めてきたときの様な新鮮味はないが、
日本では経験したことがない、
緩い空気が気にいっている。
客のほとんどは欧米人。
友達と陽気に喋っている野郎も居れば、
おねーちゃんを口説いている野郎もいる。
店の奥ではビリヤードに興じているおねーちゃんと野郎ども。
(こういうバーには大抵ビリヤード台が置いてあり1回20B。
話に詰まると、おねーちゃんが誘ってくる)
わしは一人、
哀愁を漂わせ、
麦酒を追加する。
この店は、
矢鱈とおねーちゃんが寄って来ないのが良い。
一人で飲むより、
おねーちゃんと一緒の方が楽しいのは、
わしも男。
だが、おねーちゃんに易々と奢る気になれない。
ねーちゃんのドリンク代は高い。
100B以上する。
一部がおねーちゃんの懐へ入るのだから仕方ないのかもしれないが。。。。
タイに旅行で来ていた時は、
金銭感覚は日本の飲み屋。
南国の開放的で楽観的な雰囲気に、
底抜けに明るいおねちゃんたち。
当然、財布の紐も緩い。
今のわしはタイの地方都市に住み、
飲むのは、雑貨屋前のコンクリート製の机で、
定価で買ったビアアーチャ。
地方に比べ首都バンコクは物価が高い。
物価が当分の間、
ほとんど変わっていない日本とは違い、
タイはインフレ。
わしの記憶も変わらず、
旅行のときに感じた、
安いな~という感覚のまま。
だから余計に高く感じる。
今頃は、このような場で、
あの頃のように、
心の底から楽しむことが出来ない場合が多い。
酔っ払い、
良い気分になり、
ついつい、おねーちゃんに奢ると、
場は盛り上がる。
酒の量が増える。
気分は更に大きくなり、
おねーちゃんの言いなり。
更に酒の量は増える。
気分は最高。
会計も高額。
また、馬鹿やってもうたな~と重い気になり、
しぶしぶ、支払いを済ませることが、しばしば。
いやいやながら20B札ぐらいのチップを置いていく、
気取った自分が更に嫌になる。
翌朝、床に脱ぎ捨てた、
ズボンを拾い、
ポケットから残り金を数え、
二日酔いに拍車を掛ける。。。。
それでも、
懲りずにまた飲みに出るのは何故だろう。
酒飲みとは学習能力が足りない人種なのだろうか。
あの楽しかった幻を忘れられないのだろうか。
偏見だろうが、
欧米人の飲み方はスマートに見える。
楽しんでいるように見える。
日本人みたいな一人のオヤジ。
何人かは分からない。
隣の席につき、
麦酒を注文。
そこへ、おねーちゃんが挨拶に行く。
一瞥して無視。
嫌そうな表情。
好みの子でなかったのだろうが、
こんな遊びの場では、
いかにも野暮ったい。
断るにしても、
もっと方法があるだろう。
わしは粋でありたいと思う。
粋に飲みたいと思う。
ビアバーを何軒か梯子する。
奢って攻撃に、
一本だけ飲んで出ることも。。。
きっと、わしも嫌な顔していただろう。。。。。
「あんた、昨夜千鳥足で店の前を行き来していたわよ」
初めて入った店で言われる。
無防備。
緊張感がない。
ああ、何だか最近面白くない。
年を取ったオヤジの台詞。
やはりわしはただの酔っ払い。
格好良く出来ない。
ベトナム帰りの兵士たちの開放の場として栄えたと言われる、
タイのゴーゴーバー。
最初、入ったときの衝撃は今も忘れられない。
今はそれ程楽しいとは思わないが、
折角バンコクへ来たからと、
ついつい探索してしまう。
こういう場では、
散財しないと、もてない。
面白くない。
逆に金があれば、
こんな楽しいところは滅多にない。
特に普段もてないオヤジには。。。。
目の前で、
鼻の下を伸ばした白人ハゲオヤジは
おねーちゃんに囲まれ上機嫌。
おねーちゃん達もご機嫌取りに忙しい。
生活のためとは言え、
大変だ。
男も本能とは言え、
アホだ。
冷静に眺めていると、
哀れに思えてくる。
世の中の不条理に悲しくなって来る。
何でこの若い子たちはこんなことをしているのだろう。
本当に楽しんでいるのだろうか。。。。。
人生とは。。。。
昨夜、その白人のように、
おねーちゃんに囲まれ、
超ご機嫌になっていた、
自分のことを思い出し、
興醒めしてくる。
こうなるともう駄目。
屋台で、
氷の入ったコップにビアチャンを注ぎ、
一気に飲み干す方が、
悪酔いしなくて済む。
バンコクには、
人の欲望が渦巻いている。
綺麗事ばかりではない。
人の影の部分が、
闇に包まれ、
反転して輝いている。
それが、バンコクの魅力の一つだと思う。
まだまだ抜け出せそうにない。
はぁ、こんな事を書いていると、
何だか現実逃避したくなる。
酔いたくなってきた。
飲みにでも行くか!!
ある日の昼過ぎ。
観光客が行き交う歩道に面し、
昼間からシャッターを開けた、
開放的なバーが並び、
派手なおねーちゃん達が歩道側に陣取り、
観光客を気だるそうに眺めている。
「20時までハッピータイム。ローカル麦酒70B(記憶曖昧)」
と掲げられえた店に立ち入る。
すぐには誰も寄って来ない。
キョロキョロと店内を眺め、
好みのねーちゃんを探し、
適当な場所に腰掛ける。
近くのウェイターに麦酒を注文。
いつも飲む麦酒は安いビアーアーチャ。
しかし、ここはどの麦酒も同じ値段なので、
当然、ビアーシン。
我ながらセコイ。
こんな所が、
いつまで経ってもうだつが上がらない要因なのかもしれない。
断熱材の円筒容器に入れられた、
小瓶の麦酒が運ばれてくる。
瓶の口から直接、
乾いた喉に苦い黄金の液体を流し込む。
波打つのように、
ゆるりと喉に届き、
二日酔い気味の胃に吸収される。
上手い!!
コップから飲む方が喉越しは良いが、
こういう場では、
瓶で飲むのが良く似合う。
ほっと、息を吐く。
頬辺りに血液が巡って来るのが分かる。
欧米人向けなのだろうか、
テーブルも椅子も位置が高い。
片肘をつき、
ちびりちびりと黄金水を口に運び、
辺りを観察する。
わしがタイに嵌ったのは、
こんな一時に、
何とも言えない魅力を感じたからかもしれない。
もちろん、タイに初めてきたときの様な新鮮味はないが、
日本では経験したことがない、
緩い空気が気にいっている。
客のほとんどは欧米人。
友達と陽気に喋っている野郎も居れば、
おねーちゃんを口説いている野郎もいる。
店の奥ではビリヤードに興じているおねーちゃんと野郎ども。
(こういうバーには大抵ビリヤード台が置いてあり1回20B。
話に詰まると、おねーちゃんが誘ってくる)
わしは一人、
哀愁を漂わせ、
麦酒を追加する。
この店は、
矢鱈とおねーちゃんが寄って来ないのが良い。
一人で飲むより、
おねーちゃんと一緒の方が楽しいのは、
わしも男。
だが、おねーちゃんに易々と奢る気になれない。
ねーちゃんのドリンク代は高い。
100B以上する。
一部がおねーちゃんの懐へ入るのだから仕方ないのかもしれないが。。。。
タイに旅行で来ていた時は、
金銭感覚は日本の飲み屋。
南国の開放的で楽観的な雰囲気に、
底抜けに明るいおねちゃんたち。
当然、財布の紐も緩い。
今のわしはタイの地方都市に住み、
飲むのは、雑貨屋前のコンクリート製の机で、
定価で買ったビアアーチャ。
地方に比べ首都バンコクは物価が高い。
物価が当分の間、
ほとんど変わっていない日本とは違い、
タイはインフレ。
わしの記憶も変わらず、
旅行のときに感じた、
安いな~という感覚のまま。
だから余計に高く感じる。
今頃は、このような場で、
あの頃のように、
心の底から楽しむことが出来ない場合が多い。
酔っ払い、
良い気分になり、
ついつい、おねーちゃんに奢ると、
場は盛り上がる。
酒の量が増える。
気分は更に大きくなり、
おねーちゃんの言いなり。
更に酒の量は増える。
気分は最高。
会計も高額。
また、馬鹿やってもうたな~と重い気になり、
しぶしぶ、支払いを済ませることが、しばしば。
いやいやながら20B札ぐらいのチップを置いていく、
気取った自分が更に嫌になる。
翌朝、床に脱ぎ捨てた、
ズボンを拾い、
ポケットから残り金を数え、
二日酔いに拍車を掛ける。。。。
それでも、
懲りずにまた飲みに出るのは何故だろう。
酒飲みとは学習能力が足りない人種なのだろうか。
あの楽しかった幻を忘れられないのだろうか。
偏見だろうが、
欧米人の飲み方はスマートに見える。
楽しんでいるように見える。
日本人みたいな一人のオヤジ。
何人かは分からない。
隣の席につき、
麦酒を注文。
そこへ、おねーちゃんが挨拶に行く。
一瞥して無視。
嫌そうな表情。
好みの子でなかったのだろうが、
こんな遊びの場では、
いかにも野暮ったい。
断るにしても、
もっと方法があるだろう。
わしは粋でありたいと思う。
粋に飲みたいと思う。
ビアバーを何軒か梯子する。
奢って攻撃に、
一本だけ飲んで出ることも。。。
きっと、わしも嫌な顔していただろう。。。。。
「あんた、昨夜千鳥足で店の前を行き来していたわよ」
初めて入った店で言われる。
無防備。
緊張感がない。
ああ、何だか最近面白くない。
年を取ったオヤジの台詞。
やはりわしはただの酔っ払い。
格好良く出来ない。
ベトナム帰りの兵士たちの開放の場として栄えたと言われる、
タイのゴーゴーバー。
最初、入ったときの衝撃は今も忘れられない。
今はそれ程楽しいとは思わないが、
折角バンコクへ来たからと、
ついつい探索してしまう。
こういう場では、
散財しないと、もてない。
面白くない。
逆に金があれば、
こんな楽しいところは滅多にない。
特に普段もてないオヤジには。。。。
目の前で、
鼻の下を伸ばした白人ハゲオヤジは
おねーちゃんに囲まれ上機嫌。
おねーちゃん達もご機嫌取りに忙しい。
生活のためとは言え、
大変だ。
男も本能とは言え、
アホだ。
冷静に眺めていると、
哀れに思えてくる。
世の中の不条理に悲しくなって来る。
何でこの若い子たちはこんなことをしているのだろう。
本当に楽しんでいるのだろうか。。。。。
人生とは。。。。
昨夜、その白人のように、
おねーちゃんに囲まれ、
超ご機嫌になっていた、
自分のことを思い出し、
興醒めしてくる。
こうなるともう駄目。
屋台で、
氷の入ったコップにビアチャンを注ぎ、
一気に飲み干す方が、
悪酔いしなくて済む。
バンコクには、
人の欲望が渦巻いている。
綺麗事ばかりではない。
人の影の部分が、
闇に包まれ、
反転して輝いている。
それが、バンコクの魅力の一つだと思う。
まだまだ抜け出せそうにない。
はぁ、こんな事を書いていると、
何だか現実逃避したくなる。
酔いたくなってきた。
飲みにでも行くか!!
Posted by ひよこ at 17:17│Comments(0)
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