› イサーンで胃酸過多の日々 › 2012年06月
2012年06月03日
クビ
先のブログでクビになったことを書いた。
今回はもう少し詳しく考察してみたい。
しかし、近頃のわしの文章はくどいし、格好付け過ぎ。。。
更新が滞っているのは、
書く心境ではなかったこともあるが、
何故か気軽に書けなくなってきた。
ううーーん、
今回も読むのがうざったいので、
ご覚悟を。
凸凹の足元、
今やほとんど誰も使わなくなった公衆電話ボックスや、
歩道橋の階段や、
案内板や看板が場所を取り、
エロCD、如何わしいブランドのシャツや鞄、民芸品など、
様々な物を売る屋台が軒を並べ、
「社長、社長、見るだけただ。スケベ、安い」などと、
しつこく付き纏う客引きのオヤジに、
体の不自由な人、赤ちゃんを抱いたおばちゃんなどの物乞い、
秩序なくバスを待っている乗客の群れ、
セクシーな格好をして馬鹿な男を見定めているおねーちゃんに、
一見おねーちゃんより綺麗なオカマなど、
様々な人々と物で雑然としている。
そこへ観光客など夥しい人々が行き交う。
熱が篭り、芋を洗う状態で、
汗だくになり、なかなか前に進めない。
バンコク繁華街の歩道は兎に角歩きにくい。
わしはこんな歩道を歩くのは好きではないが、
バンコクでも格段と賑やかなスクンビット通りを、
ソイ7辺りからソイ33ぐらいまで飲み歩くのは、
結構好きだ。
白黒黄色。
ここら辺りは人種の坩堝。
タイ人は勿論、
アラブ系にインド系、
白人に中国、韓国、
そして日本人。
工事現場付近にはカンボジア人にミャンマー人(多分)。
目だけを出し全身をベールに包まれたイスラム教のご婦人も珍しくない。
民族衣装を着た黒人も多いし、
屯している黒人も目に付く。
凄い体しているな~と、
黒人女性をさり気なく、
しかし舐めるように見ていたら、
ギョロリとした目で睨まれ、
「何処行くの?」と手を握ってきた。
うーーん、そう言うことか。。。。
何処から来ているのだろう??
わしは多種多様な社会が、
種の保存の上では非常に重要だと考えているので、
この通りで様々な人々を眺めているのがとても楽しい。
(単一化、単純化している社会は滅びていく運命にあるのではないかと思っているので、
その意味では日本は危ないのではないかと思う。。。。)
この辺りが好きな理由の一つが、
ソイに入ると、
昼間から飲めるバーが多いから。
コンビニで買うより当然高いが、
タイでは昼間から酒を飲めるところは意外にも少なく、
朝や14時~17時までは酒の販売を法律で禁止しているぐらいなのだ。
先日も一人この辺りを暇に任せブラブラしていた。
適当な店に入り、
通り行く人々をぼんやりと眺め、
小瓶一本65Bのビールを、
瓶から直接飲む。
おねーちゃんに囲まれ、
とろけるような笑顔で上機嫌のハゲオヤジが、
「カンパーイ!!」を繰り返している。
良く見られる勘違いオヤジ。
日本ではサラリーマンの収入程度では、
おねーちゃんがこうも寄り付かないから、
タイに来た多くの中高年オヤジがこうなる。
会計で2000バーツ以上請求されて、
顔が地に戻っていた。
おねーちゃんのドリンク代は高いのだ。
タイに初めて来たころはわしもそうだった。
日本で随分悩んだ末に会社に辞表をそっと出したのが2000年末。
会社経営はその頃も随分と苦しく、
表向きは一応引き止めてくれたが、
退職願はあっさりと受理され、
正式に辞める前に、
1ヶ月以上の有給を使い、
憧れのタイに来た。
その時のわしは、
タイのいい加減さに浸り、
今後の生活のことなど、
すっかりと忘れさり、
今思えば恥ずかしいほど浮かれまくっていた。
21世紀をチェンマイで迎え、
その後、ネパールを廻ってから日本へ帰り、
2001年の1月末付けで会社を辞めた。
そんなことを思い出しながら、
ビール2本を胃に流し込み、、
130Bを払いチップ20Bを置いて店を出る。
眩しい。
細い目を更に細め俯き加減に歩き出す。
仕事がなく、
明るいうちから飲むビールは胃に沁みる。
しかし、素面では色々な事が脳裏をかすめ、
背に霊が絡み付いるように重い。
酔って面倒なことを麻痺させたい。
この辺りのバーでは明るいうちから、
陽気に酒を飲んでいる欧米人がいると思えば
一人哲学者の様に酒を飲む白人オヤジもいる。
夜になると一段といかがわしさが増幅され、
活気に満ちる。
露天でビールを飲みながら、
不気味に座っている(失礼な言い方だが、慣れていないのでそう思ってしまう)、
黒人グループもチラホラ。
イスラム教徒は買い物に忙しいが、
中には密かに酒を飲んでいる奴もいるかもしれない。
同じ人間でありながら、
肌の色も顔も体付きも言葉も文化も歴史も価値観も宗教も違う。
生きて来た歴史も環境も違うのだから、
考え方が違うのは当たり前。
世界で紛争が無くならないのも仕方ないと思えてくる。
しかし、ここではそんな違いなど、
ゴミ捨て場のように何でも飲み込んでしまう。
腐ったミカンにもゴミにも蓋をして、
無かったことにはしない。
それが、ここに人を呼び寄せる魅力の一つだ。
ただ、それは浅い関係だからこそ。
それが、深み嵌れば嵌るほど、
暗く複雑になって行き、
太陽の光は届かなくなる。
いつだったかタイの中華街ヤワラートでビールを飲んでいた。
隣の机では近所の知り合い同士だろうと思われる親父たちが、
ビールを飲んでいたが、
何語で喋っているのかよく分からない。
店のおばさんはタイ語で注文をとる。
親父たちに聞くと中国語とタイ語で喋っていると言う。
世界中に中国人は広がり、
我が物顔で、
影響力を増しているようだが、
東南アジアでは、
経済に占める中国系の割合は大きい。
タイでは、
混血化が進み、
タイ人化している中華系の人も多いと言われるが、
それでも、
政治、経済を握るのは中国系がほとんど。
日本という温室で育ったわしが、
中国人には到底適わないのも仕方ないのかもしれない。
スクンビット通りのソイに入り、
寂れた路地にあるバーに落ち着く。
2人の黒人女性が別々の席に座って、
一人で暇そうにしている。
何をしているのだろう?
結構可愛いな~と思いながら、
大瓶95バーツのビールを注文。
氷の入ったコップに金色の魔水を注ぐ。
隣は陰気な表情の白人オヤジが一人。
氷で薄まったビールが喉に心地よい。
溜息を付きながら、
酔いでどんよりした脳に、
先日の光景が蘇ってくる。
あれはなんだったのだろう。。。。
会議室の机の上に退職願を2通並べ、
「わしの方針に従えないのなら、これにサインしてくれ」
と社長が有無も言わせぬ口調で言う。
何か実感が無く、
もう一人の自分が、
他人の事を聞いているような不思議な感覚で聞いていた。
今まで意見の違いはあったものの、
特に歯向かったつもりはない。
ただ、わしは昔からそうだが、
管理されるのは余り好きではない。
自分の思う様に物事を進めたいのだ。
だが、この会社の中国系一族は何かと管理し、
細かい事まで口出しをしてくる。
人の意見は聞かない。
メールするときは、
社長にもCCを入れろと指示される。
第一、名詞に書かされるアドレスは会社のそれ。
社長がチャックしてから、
個人のメールに送られてくるのだ。
そんな不満が態度にも出ていたのだろう。
社長は、もう一人の日本人との関係も悪化していたし、
会社は問題が山積していて、
精神的に弱っていたのかもしれない。
「明日は○○との打ち合わせに行く」と社長に報告すると、
「行くな!!」と言ってくる。
日系企業のお客様で、
もう既に約束をしているし、
今までの経緯を考えれば、
行かない訳にはいかない。
日本人の社員同士で、
それぞれの得意分野を活かし、
助け合って仕事をしようと話し合っていれば、
「一緒に行動をするな!!」と指示される。
こんな状態では楽しく仕事が出来ない。
覚悟を決めるしかないか。。。
そんなことを話し合っていた折に、
会議室に呼ばれ、
わしともう一人の日本人に対し、
クビ同然の勧告。
こうなれば、
もう修繕不可能。
二人ともその日のうちにサインをして、
わしは、またまた、ぷー太郎に逆戻り。
当然、今後の生活のことで、またまた気が重い。
しかし、酷い会社だ。
わしはタイの会社はここしか知らないので、
何とも言えないが、やはり日本企業とは違う。
人の出入りが兎に角凄い。
ソンクラーン明けから、
隣の席の奴が来ない。
長い休みやな~と思っていたら、
辞めていた。
挨拶ぐらいせ~と思うのはわしだけでは無いだろう。
後ろの席で仕事をしていた奴は、
わしと顔を合わせようともしない。
口も聞かない内に、
1ヶ月ぐらいしたら来なくなっていた。
以前、このブログにも書いた、
ダイレクターのねーちゃんも、
1ヶ月ぐらいで辞めた。
一族と意見が合わなかったらしい。
「これからは、このダイレクターに全て報告せよ」
あの方針は何だったのか????
ダイレクターが入社して直ぐに、
優秀な工事部長が辞めていった。
心底嫌になったのだろう。
「わしは仕事が大好き。これからは全ての工事の面倒を見ろと、社長から言われている」と豪語していた、
胡散臭い工事部長も問題を起こしさっさと辞めていった。
こんな話ばっかり。
週に一人から二人は出入りしていたのではないだろうか。
これでは人は育たない。
工事が問題なく進むはずがない。
やる気のある奴ほど辞めていく。
残るのはイエスマンぐらいか。
長く勤めている人は本当に少ない。
中国人は血縁しか信用しないとい言われるが、
この会社の一族も他人を信用できず、
仕事を任せることが出来ないのだろう。
安い給料に少ない休暇でこき使い。
自分たちはベンツにアウディーにボルボを乗り回す。
まあ、貴重な経験をさせてもらった。
入社してみないと到底理解できない。。。。
いつの間にか夜の帳はすっかり下りている。
酔いも脳の芯まで浸かっている。
自分でも陰気くさいのが分かる。
黒人女性はこちらを見ることもない。
誰も相手にしてくれない。
千鳥足でアソークの方向へふらふら。
何もかもが面倒になり、
どうでも良くなる。
このところ悪いことばかり続くのは、
わしの発している何かが、
悪い何かを引き付けているのだろう。
わしが陽気であれば、
寄ってくるねーちゃんも多いはずだ。
陰気に飲んでいるから、
悲しい酒になる。
他人のせいにしたら、
いつまでも後悔は残る。
確かに仕事で結果が残せなかった。
超大型物件の受注手前まで行ったが、
駄目だった。
もっと、わしが仕事が出来たら、
回避できた問題もあっただろう。
わしはタイに住み着いているが、
やはり芯は日本人。
日本の企業で働いていたときの、
遣り方、価値観の方が是だと、
意識はしてなくても思い込んでいたに違いない。
それが、この会社に馴染めなかった要因の一つになっていたのだろう。
タイに移住したのも、
タイ人と結婚したのも、
料理屋を始めたのも、
こんな会社に就職したのもわしの決断だし、
問題の要因はわしにもある。
もし、あの超大型物件を受注していたら、
どうなっていたのだろうと思う。
恐らく、会社の実力では、
顧客の要求に答えることは出来ず、
品質、工期が守れず、
わしら日本人は、
米搗き飛蝗のように謝り続ける日々になったに違いない。
これは運が良かったのかも知れない。
もっと飲みたいという気持ちを抑え、
路線バスに乗り込み家路に着く。
バスの中で酔っ払いはわし一人。
日本では当たり前の様にいる公共交通機関内の酔っ払いは、
ここでは見ることがない。
酒に逃げても明日はない。
しかし、夜が明けない日もない。
泥のようにベッドに沈み、
意識が遠のく。
隣接する学校から、
校内放送が響く。
新しい朝が来た。
が、体がダルイ。
日本へ帰ることも含め、
どうしようかと思案していたら、
朗報が飛び込んできた。
あっさりと再就職が決まったのだ。
しかも、日本有数の大企業。
そろそろ運が廻ってきたのだろうか。
ここらで、悪循環を断ち切りたい。
錆付いた重く固いギアを何とか入れ、
前に向かって走りだしたい。
今度の会社はバンコクの中心にある。
飲み屋には事欠かない。
今後は陽気な酒になり、
可愛いねーちゃんが鬱陶しいほと寄って来るに違いない。
黒人女性も笑顔を向けてくるかもしれない。
きっと、見たことも無い実になるだろう!!
ただ金は残りそうに無いな~。。。。
今回はもう少し詳しく考察してみたい。
しかし、近頃のわしの文章はくどいし、格好付け過ぎ。。。
更新が滞っているのは、
書く心境ではなかったこともあるが、
何故か気軽に書けなくなってきた。
ううーーん、
今回も読むのがうざったいので、
ご覚悟を。
凸凹の足元、
今やほとんど誰も使わなくなった公衆電話ボックスや、
歩道橋の階段や、
案内板や看板が場所を取り、
エロCD、如何わしいブランドのシャツや鞄、民芸品など、
様々な物を売る屋台が軒を並べ、
「社長、社長、見るだけただ。スケベ、安い」などと、
しつこく付き纏う客引きのオヤジに、
体の不自由な人、赤ちゃんを抱いたおばちゃんなどの物乞い、
秩序なくバスを待っている乗客の群れ、
セクシーな格好をして馬鹿な男を見定めているおねーちゃんに、
一見おねーちゃんより綺麗なオカマなど、
様々な人々と物で雑然としている。
そこへ観光客など夥しい人々が行き交う。
熱が篭り、芋を洗う状態で、
汗だくになり、なかなか前に進めない。
バンコク繁華街の歩道は兎に角歩きにくい。
わしはこんな歩道を歩くのは好きではないが、
バンコクでも格段と賑やかなスクンビット通りを、
ソイ7辺りからソイ33ぐらいまで飲み歩くのは、
結構好きだ。
白黒黄色。
ここら辺りは人種の坩堝。
タイ人は勿論、
アラブ系にインド系、
白人に中国、韓国、
そして日本人。
工事現場付近にはカンボジア人にミャンマー人(多分)。
目だけを出し全身をベールに包まれたイスラム教のご婦人も珍しくない。
民族衣装を着た黒人も多いし、
屯している黒人も目に付く。
凄い体しているな~と、
黒人女性をさり気なく、
しかし舐めるように見ていたら、
ギョロリとした目で睨まれ、
「何処行くの?」と手を握ってきた。
うーーん、そう言うことか。。。。
何処から来ているのだろう??
わしは多種多様な社会が、
種の保存の上では非常に重要だと考えているので、
この通りで様々な人々を眺めているのがとても楽しい。
(単一化、単純化している社会は滅びていく運命にあるのではないかと思っているので、
その意味では日本は危ないのではないかと思う。。。。)
この辺りが好きな理由の一つが、
ソイに入ると、
昼間から飲めるバーが多いから。
コンビニで買うより当然高いが、
タイでは昼間から酒を飲めるところは意外にも少なく、
朝や14時~17時までは酒の販売を法律で禁止しているぐらいなのだ。
先日も一人この辺りを暇に任せブラブラしていた。
適当な店に入り、
通り行く人々をぼんやりと眺め、
小瓶一本65Bのビールを、
瓶から直接飲む。
おねーちゃんに囲まれ、
とろけるような笑顔で上機嫌のハゲオヤジが、
「カンパーイ!!」を繰り返している。
良く見られる勘違いオヤジ。
日本ではサラリーマンの収入程度では、
おねーちゃんがこうも寄り付かないから、
タイに来た多くの中高年オヤジがこうなる。
会計で2000バーツ以上請求されて、
顔が地に戻っていた。
おねーちゃんのドリンク代は高いのだ。
タイに初めて来たころはわしもそうだった。
日本で随分悩んだ末に会社に辞表をそっと出したのが2000年末。
会社経営はその頃も随分と苦しく、
表向きは一応引き止めてくれたが、
退職願はあっさりと受理され、
正式に辞める前に、
1ヶ月以上の有給を使い、
憧れのタイに来た。
その時のわしは、
タイのいい加減さに浸り、
今後の生活のことなど、
すっかりと忘れさり、
今思えば恥ずかしいほど浮かれまくっていた。
21世紀をチェンマイで迎え、
その後、ネパールを廻ってから日本へ帰り、
2001年の1月末付けで会社を辞めた。
そんなことを思い出しながら、
ビール2本を胃に流し込み、、
130Bを払いチップ20Bを置いて店を出る。
眩しい。
細い目を更に細め俯き加減に歩き出す。
仕事がなく、
明るいうちから飲むビールは胃に沁みる。
しかし、素面では色々な事が脳裏をかすめ、
背に霊が絡み付いるように重い。
酔って面倒なことを麻痺させたい。
この辺りのバーでは明るいうちから、
陽気に酒を飲んでいる欧米人がいると思えば
一人哲学者の様に酒を飲む白人オヤジもいる。
夜になると一段といかがわしさが増幅され、
活気に満ちる。
露天でビールを飲みながら、
不気味に座っている(失礼な言い方だが、慣れていないのでそう思ってしまう)、
黒人グループもチラホラ。
イスラム教徒は買い物に忙しいが、
中には密かに酒を飲んでいる奴もいるかもしれない。
同じ人間でありながら、
肌の色も顔も体付きも言葉も文化も歴史も価値観も宗教も違う。
生きて来た歴史も環境も違うのだから、
考え方が違うのは当たり前。
世界で紛争が無くならないのも仕方ないと思えてくる。
しかし、ここではそんな違いなど、
ゴミ捨て場のように何でも飲み込んでしまう。
腐ったミカンにもゴミにも蓋をして、
無かったことにはしない。
それが、ここに人を呼び寄せる魅力の一つだ。
ただ、それは浅い関係だからこそ。
それが、深み嵌れば嵌るほど、
暗く複雑になって行き、
太陽の光は届かなくなる。
いつだったかタイの中華街ヤワラートでビールを飲んでいた。
隣の机では近所の知り合い同士だろうと思われる親父たちが、
ビールを飲んでいたが、
何語で喋っているのかよく分からない。
店のおばさんはタイ語で注文をとる。
親父たちに聞くと中国語とタイ語で喋っていると言う。
世界中に中国人は広がり、
我が物顔で、
影響力を増しているようだが、
東南アジアでは、
経済に占める中国系の割合は大きい。
タイでは、
混血化が進み、
タイ人化している中華系の人も多いと言われるが、
それでも、
政治、経済を握るのは中国系がほとんど。
日本という温室で育ったわしが、
中国人には到底適わないのも仕方ないのかもしれない。
スクンビット通りのソイに入り、
寂れた路地にあるバーに落ち着く。
2人の黒人女性が別々の席に座って、
一人で暇そうにしている。
何をしているのだろう?
結構可愛いな~と思いながら、
大瓶95バーツのビールを注文。
氷の入ったコップに金色の魔水を注ぐ。
隣は陰気な表情の白人オヤジが一人。
氷で薄まったビールが喉に心地よい。
溜息を付きながら、
酔いでどんよりした脳に、
先日の光景が蘇ってくる。
あれはなんだったのだろう。。。。
会議室の机の上に退職願を2通並べ、
「わしの方針に従えないのなら、これにサインしてくれ」
と社長が有無も言わせぬ口調で言う。
何か実感が無く、
もう一人の自分が、
他人の事を聞いているような不思議な感覚で聞いていた。
今まで意見の違いはあったものの、
特に歯向かったつもりはない。
ただ、わしは昔からそうだが、
管理されるのは余り好きではない。
自分の思う様に物事を進めたいのだ。
だが、この会社の中国系一族は何かと管理し、
細かい事まで口出しをしてくる。
人の意見は聞かない。
メールするときは、
社長にもCCを入れろと指示される。
第一、名詞に書かされるアドレスは会社のそれ。
社長がチャックしてから、
個人のメールに送られてくるのだ。
そんな不満が態度にも出ていたのだろう。
社長は、もう一人の日本人との関係も悪化していたし、
会社は問題が山積していて、
精神的に弱っていたのかもしれない。
「明日は○○との打ち合わせに行く」と社長に報告すると、
「行くな!!」と言ってくる。
日系企業のお客様で、
もう既に約束をしているし、
今までの経緯を考えれば、
行かない訳にはいかない。
日本人の社員同士で、
それぞれの得意分野を活かし、
助け合って仕事をしようと話し合っていれば、
「一緒に行動をするな!!」と指示される。
こんな状態では楽しく仕事が出来ない。
覚悟を決めるしかないか。。。
そんなことを話し合っていた折に、
会議室に呼ばれ、
わしともう一人の日本人に対し、
クビ同然の勧告。
こうなれば、
もう修繕不可能。
二人ともその日のうちにサインをして、
わしは、またまた、ぷー太郎に逆戻り。
当然、今後の生活のことで、またまた気が重い。
しかし、酷い会社だ。
わしはタイの会社はここしか知らないので、
何とも言えないが、やはり日本企業とは違う。
人の出入りが兎に角凄い。
ソンクラーン明けから、
隣の席の奴が来ない。
長い休みやな~と思っていたら、
辞めていた。
挨拶ぐらいせ~と思うのはわしだけでは無いだろう。
後ろの席で仕事をしていた奴は、
わしと顔を合わせようともしない。
口も聞かない内に、
1ヶ月ぐらいしたら来なくなっていた。
以前、このブログにも書いた、
ダイレクターのねーちゃんも、
1ヶ月ぐらいで辞めた。
一族と意見が合わなかったらしい。
「これからは、このダイレクターに全て報告せよ」
あの方針は何だったのか????
ダイレクターが入社して直ぐに、
優秀な工事部長が辞めていった。
心底嫌になったのだろう。
「わしは仕事が大好き。これからは全ての工事の面倒を見ろと、社長から言われている」と豪語していた、
胡散臭い工事部長も問題を起こしさっさと辞めていった。
こんな話ばっかり。
週に一人から二人は出入りしていたのではないだろうか。
これでは人は育たない。
工事が問題なく進むはずがない。
やる気のある奴ほど辞めていく。
残るのはイエスマンぐらいか。
長く勤めている人は本当に少ない。
中国人は血縁しか信用しないとい言われるが、
この会社の一族も他人を信用できず、
仕事を任せることが出来ないのだろう。
安い給料に少ない休暇でこき使い。
自分たちはベンツにアウディーにボルボを乗り回す。
まあ、貴重な経験をさせてもらった。
入社してみないと到底理解できない。。。。
いつの間にか夜の帳はすっかり下りている。
酔いも脳の芯まで浸かっている。
自分でも陰気くさいのが分かる。
黒人女性はこちらを見ることもない。
誰も相手にしてくれない。
千鳥足でアソークの方向へふらふら。
何もかもが面倒になり、
どうでも良くなる。
このところ悪いことばかり続くのは、
わしの発している何かが、
悪い何かを引き付けているのだろう。
わしが陽気であれば、
寄ってくるねーちゃんも多いはずだ。
陰気に飲んでいるから、
悲しい酒になる。
他人のせいにしたら、
いつまでも後悔は残る。
確かに仕事で結果が残せなかった。
超大型物件の受注手前まで行ったが、
駄目だった。
もっと、わしが仕事が出来たら、
回避できた問題もあっただろう。
わしはタイに住み着いているが、
やはり芯は日本人。
日本の企業で働いていたときの、
遣り方、価値観の方が是だと、
意識はしてなくても思い込んでいたに違いない。
それが、この会社に馴染めなかった要因の一つになっていたのだろう。
タイに移住したのも、
タイ人と結婚したのも、
料理屋を始めたのも、
こんな会社に就職したのもわしの決断だし、
問題の要因はわしにもある。
もし、あの超大型物件を受注していたら、
どうなっていたのだろうと思う。
恐らく、会社の実力では、
顧客の要求に答えることは出来ず、
品質、工期が守れず、
わしら日本人は、
米搗き飛蝗のように謝り続ける日々になったに違いない。
これは運が良かったのかも知れない。
もっと飲みたいという気持ちを抑え、
路線バスに乗り込み家路に着く。
バスの中で酔っ払いはわし一人。
日本では当たり前の様にいる公共交通機関内の酔っ払いは、
ここでは見ることがない。
酒に逃げても明日はない。
しかし、夜が明けない日もない。
泥のようにベッドに沈み、
意識が遠のく。
隣接する学校から、
校内放送が響く。
新しい朝が来た。
が、体がダルイ。
日本へ帰ることも含め、
どうしようかと思案していたら、
朗報が飛び込んできた。
あっさりと再就職が決まったのだ。
しかも、日本有数の大企業。
そろそろ運が廻ってきたのだろうか。
ここらで、悪循環を断ち切りたい。
錆付いた重く固いギアを何とか入れ、
前に向かって走りだしたい。
今度の会社はバンコクの中心にある。
飲み屋には事欠かない。
今後は陽気な酒になり、
可愛いねーちゃんが鬱陶しいほと寄って来るに違いない。
黒人女性も笑顔を向けてくるかもしれない。
きっと、見たことも無い実になるだろう!!
ただ金は残りそうに無いな~。。。。
2012年06月01日
転職
「わしの言うことを聞かれないのなら、これにサインしろ!!」
突然でもないが、
まあ2、3日の内に、
俄かに暗雲がたち込め、
社長に呼ばれてこう言われた。
意見の対立はあったものの、
こんな事を言われるいわれはない。
とわしは思う。
日系企業ではまず有り得ないだろう。
こんなことを言われたら、
もうこんな会社で働く気持ちはなくなる。
その日のうちにサインした。
波乱万丈、人生色々。
わしの本望ではないのに、
本当に様々なことが起こる。
タイにはやられ放し。
やはり、感覚の違いが大きいのだろう。
しかし、ある人間関係で、
次の道があっさりと開けてきた。
明日から新しい環境で、
生活が始まる。
雨降って地固まる。
返ってクビになって良かったかも。
でも、今後の道が平滑であるかどうかは、
わしのこれからの働き次第。
まあ、わしの実力でどこまで仕事ができるかどうか分からんが、
生活する為には、
クビにならないよう頑張るしかない!!
突然でもないが、
まあ2、3日の内に、
俄かに暗雲がたち込め、
社長に呼ばれてこう言われた。
意見の対立はあったものの、
こんな事を言われるいわれはない。
とわしは思う。
日系企業ではまず有り得ないだろう。
こんなことを言われたら、
もうこんな会社で働く気持ちはなくなる。
その日のうちにサインした。
波乱万丈、人生色々。
わしの本望ではないのに、
本当に様々なことが起こる。
タイにはやられ放し。
やはり、感覚の違いが大きいのだろう。
しかし、ある人間関係で、
次の道があっさりと開けてきた。
明日から新しい環境で、
生活が始まる。
雨降って地固まる。
返ってクビになって良かったかも。
でも、今後の道が平滑であるかどうかは、
わしのこれからの働き次第。
まあ、わしの実力でどこまで仕事ができるかどうか分からんが、
生活する為には、
クビにならないよう頑張るしかない!!